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固形潤滑材ワックスと潤滑油の比較

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固形潤滑材ワックスと潤滑油の比較

はじめに
固体潤滑剤は、単体使用ではオイルやグリスのような低摩擦性や冷却性は得られないもののオイルやグリスの使用が困難な箇所、使用避けたい箇所での潤滑に効果を発揮します。

特に超重量物を移動させるすべり面、金属材料の降伏応力以上の耐荷重性の要求される塑性加工の潤滑など、非常に厳しい環境の摩擦・摩耗低減に効果が期待されます。

速度が0になる起動や停止時など一般に低速になるほどオイルやグリースの油膜形成、すなわち流体潤滑は困難であり、摩擦面の凝着による摩耗が発生し易く、特にクレーン車輪などの起動や停止を繰り返す往復動部は大きな課題となります。

固体潤滑剤であれば、起動や停止に関係なく潤滑性が維持できるため、このようなケースの摩擦や摩耗防止に効果的です。

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油潤滑の場合、クレーン車輪のような極圧荷重での摩擦面は、添加剤の入っていないベースオイル潤滑では油膜の吐き出し現象が生じ、金属同士のフレッティング摩耗が発生します。

しかし、六方昌構造を有する二硫化モリブデン等の固体潤滑剤は数μmの粒子が摩擦面に存在していれば、耐荷重が高く、小さなせん断力で滑りを発生させ、外圧加重による粒子の吐き出し現象は発生しません。

その事を潤滑剤性能試験機で検証しました。


試験名称:シェル式四球耐荷重能試験

準用規格:ASTM D 2596

【仕様】
試験球 : 玉軸受用鋼球
試験球直径 : 12.7mm
試験球回転速度(上部固定軸) : 1760±60rpm (変更可能)
試料温度 : 27±8℃ (変更可能)
試料塗布量 : 任意 (試料容器の空隙および鋼球表面を満たす十分量)
試験時間 : 10 seconds (変更可能)
試験荷重 : 78 ˜ 7845N
得られる情報 : LNL (最大非焼付荷重), WL (融着荷重), LWI (荷重摩耗指数)

【目的】
シェル式四球耐荷重能試験は、試料の耐荷重能を評価するためのものである。

【試験方法】
鋼球をPhoto.2に示す試料容器及びPhoto.1に示す回転軸に固定する。容器の空隙および鋼球表面に試料を充てんし、任意の荷重で試料容器中の鋼球と回転軸の鋼球を接触させる。この状態で1760±60rpmの速度で回転軸を10秒間回転させる。荷重を変化させ、試験球を交換しながら、融着するまで操作を繰り返す。
試験荷重と試験球に生じた摩耗痕径から、最大非焼付荷重(LNL)、融着荷重(WL)、荷重摩耗指数(LWI)を算出する。最大非焼付荷重は、焼付きに至る直前の荷重を示す。融着荷重は鋼球同士が融着して一体化した時の荷重を示す。荷重摩耗指数は試験結果から求められる潤滑剤の耐荷重能の総合指標である。 各数値が高いほど、性能が優れていると考えることができる。

試験荷重詳細 (単位:N)
78 98 128 157 196 235 314 392 490 618 785
981 1236 1569 1961 2452 3089 3923 4903 6080 7845
ダミーイメージ

Photo1

ダミーイメージ

Photo2

ダミーイメージ

四球溶着状態

シェル式四球耐荷重能試験結果(単位:N)
試験条件 ボルドンワックス
二硫化モリブデン
+パラフィン
鉱油系ギアオイル100
添加剤有機モリブデン
鉱油系ギアオイル460
添加剤有機モリブデン
鉱物油(VG100)
Base oil only
ボルドンワックス:100℃
潤滑油:20℃±15℃
1765rpm,10sec
LNL  618 618 618  314
WL  4903 1569  1961 1236
LWI 594 273 295 151

【試験結果】「ボルドンワックスと潤滑油の耐荷重性能比較について」

LNL値(最大非焼付荷重)
最大非焼付荷重は、荷重により油膜(潤滑膜)が破断し、金属同士が直接接触することにより焼付が生じるまでの限界荷重を示す。

  • ボルドンワックスと鉱物油について比較すると、ボルドンワックスの方が高い数値を示した。
  • これは鉱物油では油膜が破断する荷重においても、二硫化モリブデンを高濃度に配合したワックスが界面に介在することで、金属の直接接触を防ぐためである。
  • ボルドンワックスのLNL値はギヤオイルのそれと同等であり、高荷重領域でも高濃度に極圧剤を配合したギヤオイル並みに潤滑性を発揮する事を示している。

WL値(融着荷重)
金属同士の摺動により生じる摩擦熱により金属が溶融し互いに融合する荷重であり、この領域ではもはや摺動はできなくなる。

  • ボルドンワックスと鉱物油のそれを比較すると、ボルドンワックスの方がはるかに高い数値を示した。
  • また、ギヤオイルと比較しても高い値を示している。これはギヤオイル中に配合される極圧剤が摺動材と反応し形成される被膜よりも、二流化モリブデンによる固体潤滑被膜が優れるためである。
  • また、ワックスであるため流れ落ちる潤滑油に比べ歩留りが良い点も挙げられる。
  • 二流化モリブデンは固体潤滑剤の中でもトップクラスの摩擦係数を有し、かつ1cm2あたり28tもの荷重に耐えうる極圧性を有しているため、この固体潤滑被膜が限界荷重を大きく引き上げる。

LWI値(荷重摩耗指数)
荷重摩耗指数は金属同士の接触が起こった荷重間の痕径から算出される数値で、数値が高いほど耐摩耗性に優れる事を示す。

  • ボルドンワックスは、鉱物油はもちろんギヤオイルよりも高い数値を示した。よって耐摩耗性に優れることを示している。

総合

  • ボルドンワックスは鉱物油に比べ全ての数値について上回っており、鉱物油よりも耐価重能に優れた潤滑剤である。
  • また、ギヤオイルと比較してもほぼ同水準以上の数値を示す事から、ギヤオイルよりも耐荷重能に優れた潤滑剤である。

 

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